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会社設立するとどんな税金がかかる?インボイス制度との関係は?

会社を設立した場合、課税所得等に対して一定の税率で各種の税金がかかることになります。
ここでは、会社設立時や事業開始後にかかる主な税金、個人事業主のままでいた場合にかかる主な税金、会社ができる納税対策、2023年10月からスタートする予定のインボイス制度、会社設立のメリット・デメリットなどについて詳しく解説しています。

会社設立時と会社設立後に課される税金

会社設立にかかる税金として、まずは「設立時」にかかる税金と「設立後」にかかる税金を確認してみましょう。

会社設立時にかかる税金

登録免許税

登録免許税とは、会社設立登記の際にかかる税金です。株式会社の場合は15万円、合同会社の場合は6万円となります。ただし、資本金の0.7%が15万円超となる場合には、その全額となります。

定款の印紙代

公証役場で定款認証をしてもらう際、印紙代として4万円が課税されます。なお、電子媒体で定款を提出する場合には(電子定款)、印紙代がかかりません。

会社設立後にかかる税金

法人税

法人税とは、法人の課税所得金額に課される税金です。
税率は、課税所得金額が800万円以下の部分に対して15%、800万円超の部分に対して23.2%となります。

法人住民税

個人と同様、法人にも住民税がかかります。
法人住民税には「法人税割」と「均等割」の2種類がありますが、これらのうち「均等割」は、たとえ会社が赤字であっても納税義務が生じる税金です。

法人事業税

都道府県による各種公共サービスの経費に充てることを目的に、会社には法人事業税が課されます。
税率等の条件は都道府県によって異なります。

消費税

顧客より預かった消費税から会社が支払った消費税を差し引いた金額を差し引いた金額を納税します。

なお、消費税の納税義務が生じるタイミングは、課税売上高が1000万円超となった2年後から。ただし、資本金を1000万円以上に設定すると、その期から消費税の課税事業者となる点に注意が必要です。

源泉所得税

会社に従業員を雇った場合には、源泉所得税を納める必要があります。給与を支払う会社が従業員の源泉所得税を計算し、各従業員の給与から天引きして納税します。

なお、源泉所得税は個人事業主の場合でも同様に納税しなければなりません。

各種社会保険

役員・従業員を問わず、一定の条件を満たしている会社のメンバーについては、必ず社会保険(健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険)に加入しなければなりません。
その保険料の一部を会社が負担する形となります。

本当に会社設立すべきか?個人事業主のほうが良いのか?

事業をおこすにあたり、「税金面では会社と個人事業主のどちらが有利か」という点で悩む方がいるかもしれません。

どちらが有利かという問題は状況によって異なるため一概には言えません。両者の税制が異なるからです。
以下、個人事業主にかかる税金について確認してみましょう。

個人事業主は開業時に税金がかからない

会社の場合、設立時に登録免許税がかかることは必須で、他にも定款の印紙代がかかることもあります。
一方で個人事業主の場合、開業時に税金がかかることはありません。

個人事業主の開業手続きに必要なものは、税務署への開業届の提出のみ。必要に応じて他の種類を提出することもありますが、書類作成に手間はかかるものの、手数料や税金はかかりません。

個人事業主の開業後にかかる税金

個人事業主の開業後にかかる税金は次の通りです。

所得税

課税所得(売上から経費や控除項目の金額を差し引いたもの)に対し、所得税が課されます。会社でいう「法人税」にあたる税金です。

所得税の税額計算では、課税所得の額が大きいほど税率も大きくなる「累進課税」制度が採用されています。

個人住民税

課税所得の金額を基準に、個人住民税が課されます。個人住民税は都道府県税と市区町村税の2種類で構成され、両者を合算した金額を年4回に分けて納付します。

個人事業税

収入金額から経費や事業主控除(290万円)を差し引いた金額に対し、個人事業税がかかります。
税率は原則として3~5%ですが(業種によって異なる)、一部業種においては個人事業税が免除されています(作家、翻訳業、システムエンジニアなど)。

消費税

消費税の免税事業者でない場合には、顧客から預かった消費税を納める必要があります。

なお、消費税の免税事業者に関して、2023年10月1日から開始される予定の「インボイス制度」により、その取り扱いが大きく異なることになります。インボイス制度の詳細については後述します。

源泉所得税

個人事業主として従業員を雇っている場合、源泉徴収税額表に基づき源泉所得税を納付します。

国民年金・国民健康保険

税金とは異なりますが、上記の税金の他にも、個人事業主は国民年金(定額)と国民健康保険(金額は収入に応じる)を納付する必要があります。

納税期日を過ぎてしまった場合のペナルティ

会社が納税期日を過ぎてから税務申告をした場合、延滞税や無申告加算税などのペナルティを課されることがあります。

税務上のペナルティは会社の社会的信用力にも関わる大きな問題となります。
そのため、意図的に申告しないことは論外ですが、「うっかり申告を忘れていた」「忙しくて申告に間に合わなかった」ということのないようにしましょう。

延滞税

申告し確定した税金を期日までに納めなかった場合などには、確定した税額に加えて延滞税を納めなければなりません。

延滞税の税額は、期日の翌日から納付するまでの日数を基準に日割計算で算出されます。

無申告加算税

会社には、決算を終えてから2か月以内に確定申告を行う義務がありますが、もし期限内までに確定申告を行わない場合には、無申告加算税を課されることがあります。

なお、無申告に関する税務調査が行われる前に期限後申告をする場合には、無申告加算税が軽減または免除されます。

会社が行える主な節税対策

個人事業主に比べ、会社は節税に利用できる範囲・項目が広いと言われています。
以下、会社形態ならではの主な節税の方法について確認してみましょう。

役員報酬で節税する

会社から役員に支払われる役員報酬には、65~220万円の給与所得控除が適用されます。
一方で個人事業主は、青色申告控除の65万円までしか控除を受けることができません。そのため、個人事業主に比べると会社役員のほうが所得税を圧縮できる可能性は高くなります。

また、家族を役員に就任させて役員報酬を分散させれば、役員となった家族全員に65~220万円の給与所得控除が適用されるため、節税効果が更に高くなります。

退職金で節税する

5年以上会社に勤務した会社役員については、退職所得控除という優遇税制が適用されます。
また、課税対象は退職所得控除を差し引いた金額の半分で、かつ他の所得を分離して課税されるため累進課税が緩和されます。

個人事業主の場合、小規模企業共済制度によって同様の節税効果を狙うことはできますが、その金額には上限があります。

欠損金の繰越控除で節税する

会社の事業が赤字になった場合、この赤字分を翌期以降に繰り越することが認められています。
個人事業主にも赤字の繰越控除が認められていますが、個人事業主の繰越期限が3期までであることに対し、会社の繰越期限は9期までと大幅に有利な設定となっています。

2023年10月1日からスタートするインボイス制度

2023年10月1日から、消費税に関連する大きな制度変更があります。いわゆる「インボイス制度」の開始です。

インボイス制度が始まった場合、個人事業主やフリーランスの収入に大きな影響が生じてくる可能性が指摘されております。2022年11月時点においては、その制度の取り扱いについて議論が続いています。

以下、多くの零細企業の打撃になると言われるインボイス制度について詳しく確認しておきましょう。

インボイス制度の概要

インボイス制度とは、2023年10月1日から開始される消費税の新たな仕入額控除方式を言います。
これまで事業者には、消費税の納税事務において請求書を保存する形のシンプルな方式が認められていました。

しかし、インボイス制度がスタートして以降は、売り手から厳格な書式で作成された「インボイス(適格請求書)」を受け取取って保存する形となります。このインボイスを保存しなければ、仕入額控除ができません。
インボイスを発行できる事業者は、税務署に申告して登録された適格請求書発行事業者のみとなります。

インボイス制度の開始による事業への影響

インボイスを交付するにしても保存するにしても、消費税に関連する各種事務作業が増加します。
インボイスに対応したシステムの導入も必要となるため、一定の初期コストが発生することになるでしょう。

また、課税売上高1000万円の事業者については、免税事業者として消費税の納税が免除されていますが、免税事業者はインボイスを発行できません。
インボイスを発行できなくなると、取引先は仕入額控除ができなくなるため、取引の継続を検討せざるを得なくなるでしょう。

もし免税事業者が継続して取引したいならば、税務署に申告・登録をして適格請求書発行事業者になる必要があるかもしれません。ただし、適格請求書発行事業者になると消費税の免税措置がなくなるため、その分、所得は減少する懸念があります。

インボイス制度の導入が決まった理由

現行の消費税制では、対象品目に応じて税率8%と10%が複雑に混在している形ですので、消費税の計算ミスが発生しやすいとされています。
一方でインボイス制度の開始後は、請求書に商品ごとの税率・消費税額を記載する必要があるため、消費税の計算ミスは起こりにくくなると考えられています。
また、本来は8%の消費税率の品目について、10%で計上するなどの不正を防ぐこともできるようになります。

他にも、インボイス制度導入の背景には様々あると言われていますが、導入理由については不明瞭な点が多いのが現状です。
施行が差し迫っている2022年においてもなお、国会で多くの議論が交わされています。

個人事業主と比較した会社設立のメリット

売上の額にもよりますが、一般的には個人事業主よりも会社のほうが、節税できる範囲・項目が広がります。節税効果は、会社設立の最大のメリットと言っても良いでしょう。

また、会社には節税効果の他にも、個人事業主より有利とされるいくつかのメリットがあります。会社設立を検討する際には、以下のメリットにも注目してみましょう。

社会的信用力が上がる

個人事業主と比べると、社会的信用力は会社のほうが高いと認識されています。社会的信用力が顧客開拓力に直結すると考えれば、個人事業主よりも会社のほうが事業拡大のチャンスは大きいかもしれません。

優秀な人材が集まりやすくなる

個人事業主よりも社会的信用力が高いことから、従業員の新規雇用においても、個人事業主に比べると優秀な人材が集まりやすいと考えられます。

創業時の融資を受けやすい

事業開始後の融資の受けやすさについては業績に左右されますが、少なくとも創業時の融資においては、個人事業主よりも会社のほうが有利とされています。

事業承継をしやすくなる

会社の場合、代表取締役と会社の銀行口座は別々ですので、仮に代表取締役が死亡したとしても、会社の銀行口座が凍結されることはありません。
また、登記変更を行えば別の代表取締役を立てることができるため、大きな支障なくビジネスを継続させることができます。

一方で個人事業主が死亡した場合、事業主の個人名義の銀行口座が一時的に凍結されるため、支払いが困難になるなどの支障が生じる可能性もあります。

個人事業主と比較した会社設立のデメリット

個人事業主に比べ、一般的には会社のほうがメリットは多いと考えられていますが、一方で会社には、個人事業主にはないデメリットがあることも確かです。

以下、会社特有の主なデメリットについて確認しておきましょう。

事業開始までにかかる手間やコストが大きくなる

会社設立には、複雑で様々な準備や手続きが必要となります。また、設立登記申請時の費用や司法書士等への報酬など、決して安くないコストもかかります。

一方で個人事業主の場合、基本的に開業に必要な手続きは税務署への開業届の提出のみ。提出に際し、手数料や税金などのコストもかかりません。

赤字でも税金が発生する

会社の場合、たとえ赤字であっても最低7万円前後の住民税均等割が発生します。
一方で個人事業主の場合、事業が赤字になれば税金は課されません。

事務的な負担が増える

会社と個人事業主を比較した場合、一般的に事務作業の量や煩雑さは、会社のほうが上です。
特に税務関係の事務作業には多くの労力と専門知識が必要となるため、多くの会社では税理士と協力しているのが現状です。

一方で個人事業主の場合、よほど事業規模が大きくない限り、さほど事務作業は難しくありません。事業主自身が自ら確定申告書類を作成・申告している例も、一般的に見られるほどです。

社会保険への加入が義務付けられる

会社の場合、役員や従業員の社会保険料を一部負担しなければなりません。個人事業主が負担している国民健康保険料や国民年金保険料に比べ、会社が負担する社会保険料のほうが割高になります。

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