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株式会社の作り方を解説!会社設立の流れ・必要書類とは?

ビジネスを始める方法には、大きく分けて会社設立する方法と個人事業主で開業する方法の2種類があります。個人事業主の開業は、基本的に税務署へ開業届を提出するのみで完了するため、非常に簡単です。1日あれば十分に開業できます。

一方で、会社設立の場合には事前に様々な準備や手続きを行う必要があり、決して簡単ではありません。当記事では、会社設立をお考えの方に向け、会社形態の中で最も一般的な「株式会社」の作り方をご紹介しています。

株式会社を作る6つのステップ

株式会社の作り方を6つのステップに分けて説明します。
実際に株式会社の設立に着手すると、とても6つのステップだけで終わるものではないことを実感します。

煩雑な準備や手続きなどで迷走しないよう、まずは大きな流れとして以下6つのステップを軸にイメージしておくようにしましょう。

【ステップ1】発起人を決める

会社設立の発起人を決めます。発起人とは、会社設立の手続きを具体的に進めていく代表のような立場の者を言います。発起人の人数は1人でも複数人でも構いません。また、自然人だけではなく法人でも良いとされています。

会社設立が完了すれば発起人の仕事は終了です。以後、会社を経営していくのは取締役・監査役などの役員となります。ただし多くの場合、発起人はそのまま代表取締役に就任し、会社経営を行う立場となります。

【ステップ2】会社の概要を決める

発起人の決定後、会社の基本的な事項を決めます。具体例として、次のような事項を決めることとなります。

  • 事業の目的
  • 会社の商号
  • 本店の所在地
  • 資本金の額
  • 公告の方法
  • 全発起人の出資額
  • 発行可能株式総数
  • 設立時発行株式総数
  • 事業年度
  • 設立時代表取締役・設立時取締役など会社の機関
  • 株式譲渡制限の有無、など

上記のうち、特に注目しておきたい3点を確認しておきましょう。

商号について

商号とは「登記予定の会社名」のことです。会社名として使用できない文字・記号などがあるため、事前に確認しておきましょう。また、同一所在地にある会社名と同じ会社名にすることは禁じられているなど、商号の決定に関して一定の制限があるので、併せて確認しておく必要があります。

なお、株式会社の会社名の中には、必ず「株式会社」という文字を入れなければなりません。「○○株式会社」「株式会社○○」などのような形式です。

資本金について

資本金とは、会社を運営していくための元手のようなお金のこと。かつては法律で「株式会社の資本金は1000万円以上」と決められていましたが、会社法改正に伴い、資本金1円でも株式会社を設立できることとなりました。

ただし、法律上は1円で株式会社を設立できるとは言え、実際に1円を元手にビジネスを展開することは非現実的です。加えて、返済能力の点から銀行融資を受けにくくなる可能性もあるため、ある程度の資本金を用意・設定しておくことが望ましいでしょう。

設立時代表取締役などの機関について

会社設立までは発起人が主な仕事を担当するものの、会社が設立されれば発起人は仕事を終了します。この時点で取締役などの機関がなければ、会社経営を行う主体が存在しないことになり、状況が良くありません。

そのため、会社設立前の段階で設立時取締役などの経営主体を決定しておく必要があります。

【ステップ3】会社の実印を作成する

法務局へ会社設立登記書類を提出する際、会社の印鑑届出書の提出も必要となります。印鑑届出書とは、個人で言う印鑑登録に必要な書類のことです。会社の実印を押し、法務局へ提出して登録します。

実印がなければ会社設立登記書類に不備が生じることとなるため、会社名が決まったら、早めに実印を作成しておきましょう。また、実際に事業が始まると、実印以外にも銀行印や角印が必要となります。実印の作成を依頼する際、併せて他の印鑑も注文しておくと良いでしょう。

なお、2021年2月15日から、会社設立登記をオンラインから申請する場合に限り、印鑑届出書の提出は任意となりました。この改正により実印がなくても会社設立登記はできることになりましたが、会社の実印はビジネスのあらゆる場面で必要となるので、オンライン申請を行う予定でも実印は作成しておくようおすすめします。

【ステップ4】定款を作成して認証を受ける

会社の基本的な事項を決定したら、法律に従った正しい書き方で漏れなく書類にまとめます。この書類のことを定款(ていかん)と言います。まとめた定款は公証役場へ提出し、公証人の認証を受けなければなりません。

定款とは

定款とは会社の土台となる重要な骨格をまとめた書類のことです。「会社の憲法」とも言われる重要な取り決めが記載され、もし定款に記載した内容を変更する場合には、「議決権を有する株主が過半数出席した株主総会で、出席株主の議決権の2/3以上の賛成」が必要となります。やや難しい話かもしれませんが、いかに定款が重要な書類であるかはイメージできるでしょう。

公証人による認証(定款認証)とは

作成した定款は公証役場へ提出し、公証人による認証を受けなければなりません。株式会社を設立する際、公証人による定款認証は必須のプロセスとなります。

公証人とは、長年にわたり裁判官や検察官などを務めてきた人物の中から、法務大臣が任命する重要な国家機関です。提出された定款について、法的な問題がないかどうかを詳細にチェックし、問題がないと判断された場合のみ認証を行います。

公証人の認証を得るためには、高度な専門知識をもとに定款を作成しなければなりません。この段階で足踏みしないよう、司法書士や公認会計士などの専門家へ相談しながら定款を作成するようおすすめします。

【ステップ5】資本金を払い込む

定款が認証された後(認証される前でも構いません)、出資者は資本金を払い込みます。この段階ではまだ会社が設立されていないため、会社名義の銀行口座が存在しません。そのため、資本金の一時的な預かり口座として、発起人や設立時取締役の個人口座へ資本金が払い込まれることになります。

会社設立が完了した後、会社名義の銀行口座を開設して資本金を移管する流れです。発起人または設立時取締役の個人口座へ資本金が払い込まれたら、払い込まれた通帳のコピー(表紙・裏表紙・振込記録が印字されたページ)を取得します。これらのコピーのセットは、法務局で会社設立登記申請を行う際の必要書類の1つとなります。

【ステップ6】法務局へ会社設立登記の申請を行う

会社設立登記に必要な書類を全て揃え、本店所在地を管轄する法務局へ赴いて会社設立登記の申請手続きを行います(オンライン申請も可能です)。申請に必要な書類は、例えば次のようなものです。

  • 定款
  • 設立時取締役の就任承諾書
  • 設立時取締役の印鑑証明書
  • 会社の印鑑届出書
  • 資本金の払い込みを証明する書類(通帳のコピー)
  • 登録免許税に収入印紙を貼り付ける台紙、など

会社の条件により、他にも多くの書類が必要です。必要書類の特定や作成は非常に煩雑なため、一般的には司法書士や公認会計士などの専門家のサポートを受けながら会社設立登記の申請を行います。

なお「会社の設立日」は、申請が許可された日ではなく、申請した当日となります。土日祝日は法務局の窓口が開いていないため、例えば「社長の誕生日を会社設立日にしたい」と考えても、社長の誕生日が土日祝日だった場合には会社設立日にすることができません。「1月1日を会社設立日にしたい」と考える方も多いようですが、1月1日は祝日なので法務局の窓口はお休みとなります。

株式会社設立に必要となる主な費用

株式会社設立に掛かる主な費用を確認しておきましょう。

定款の収入印紙代

書面による定款認証を受ける場合には、定款に40,000円の収入印紙を貼付します。電子定款を利用する場合には、収入印紙代が掛かりません。

定款の認証料

定款認証を受ける際の手数料として50,000円が必要となります。謄本代として別途2,000円程度も必要です。

登録免許税

株式会社の法人登記をする際、登録免許税として最低でも150,000円の国税を納税する必要があります。

会社用の実印の費用

会社実印や銀行印、角印などの作成費用が掛かります。印鑑の素材によって価格は大きく異なりますが、最低でも5,000円、良質の素材であれば200,000円ほど掛かるでしょう。

以上の費用を合算すると、株式会社設立には最低でも200,000円程度の費用が掛かることになります。また、もし会社設立の際に司法書士や公認会計士のサポートを受ければ、サポートに応じた報酬を支払う必要もあります。

株式会社を設立して法人化する主なメリット

株式会社を設立して法人化する主なメリットについて、個人事業主と比較しながら3点ほど見てみましょう。

社会的な信用を得られやすくなる

個人事業主に比べ、株式会社は社会的な信用を得られやすい傾向があります。その理由にはいくつかありますが、第一の理由としては、個人商店と法人とのイメージの違いにあるでしょう。「株式会社」という形式や音も、どこか個人商店より信用の高いイメージに貢献します。

第二の理由としては、設立までのプロセスや設立後の運用が明確な点です。個人資産とは異なる客観的な資本金が設定されている点や代表者・役員などが登記されている点など、個人商店に比べると曖昧な部分がありません。大企業の中には、株式会社とは取引するものの個人事業主とは取引しない、と決めているところもあるほどです。

資金調達をしやすくなる

個人事業主に比べ、株式会社は銀行などからの資金調達をしやすい傾向があります。株式会社では、会社の財産と役員等の個人財産を明確に分けて帳簿にまとめています。

もちろん、個人事業主も原則としては店舗と事業主の財産を分けて管理することになっていますが、現実としては両者の財産の境界線に曖昧な部分があることを否めません。お金の管理がより明確である点で、個人事業主よりも株式会社のほうが、資金調達をしやすい(銀行等の信用を得られやすい)傾向があります。

節税効果が高くなる

事業からの利益額がある程度の水準を超えると、個人事業主より株式会社のほうが税金を抑えられます。個人事業主の利益に課される主な税金は所得税ですが、所得税は累進課税となるため、利益が高くなればなるほど税率が上昇(上限あり)。

一方で株式会社の利益に課される主な税金は法人税ですが、法人税は原則として固定税率なので、利益が高くなればなるほど税金面で有利になります。一般的には、年間の利益額が500万円を超えたあたりから、所得税よりも法人税のほうが有利になるでしょう(会社の状況により異なります)。

また、個人事業主に比べ株式会社は経費項目が広くなることも、株式会社のほうが税金面で有利とされる理由の1つとなります。

【まとめ】株式会社設立の手順と必要費用、法人化のメリットについて

  • 株式会社の設立は6つのステップで行われます:発起人の決定、会社の概要の決定、会社の実印の作成、定款の作成と認証、資本金の払込み、そして法務局への会社設立登記の申請。
  • 会社設立に必要な主な費用には、定款の収入印紙代、定款の認証料、登録免許税、会社用の実印の費用などがあり、最低でも200,000円程度が必要となります。
  • 株式会社を設立して法人化する主なメリットとしては、社会的な信用を得られやすくなること、資金調達がしやすくなること、そして節税効果が高くなることが挙げられます。
  • 会社設立には複雑な手続きと高度な専門知識が必要であるため、司法書士や公認会計士などの専門家のサポートを受けることが推奨されています。

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