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会社設立と個人事業主はどう違う?開業手続きも解説

会社設立と個人事業主はどう違う?開業手続きも解説

会社設立(法人)と「個人事業主」とは?

会社設立(法人化)と個人事業主には、事業を行うという面では共通点がありますが、それぞれに違いがあります。会社設立の“会社”とは、「法律によって人と同じ権利や義務を認められた組織」のことをいいます。

厳密に言うと法人と会社にも違いがあり、法人は公的法人と民間法人に分けられます。

公的法人は地方公共団体や国民生活センター・造幣局などの独立行政法人、日本年金機構・NHK・JTなどの特殊法人の総称です。

民間法人は営利法人と非営利法人に分けられ、“会社”はこの営利法人のことを指します。

株式会社とは、株式を発行したのち投資家に株主となってもらって資本を募り、その資本を用いて経営を行っていく会社のこと。一方、持分会社は「出資者=経営者」であり、出資者自らが経営も行う会社のことです。出資者を社員と呼び、その中で経営の決定権をもつ人が代表社員と呼ばれます。

会社設立をするためには、株式会社であれば「発起人の決定/社名や事業内容、資本金の決定/定款の作成と認証/会社の印章(印鑑)の作成/出資金の払い込み/登記申請」といった手続きを要し、手続きに掛かる費用は約25万円程度。必要な日数は、手続きの速度にもよりますが事前の準備から登記の申請までが2週間程度、合同会社は1週間程度がおおよその目安です。

個人事業主は、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のこと。「開業届」を税務署に提出すれば個人事業主になれますから、事業を開始するのは簡単です。

個人事業主は複雑な手続き不要でスタートできるため、まず個人事業主として始め、収益や規模が増えたら会社を設立する…という風に段階を踏むことも可能です。

会社設立(法人)と個人事業主のおもな違い

開業までの手続きと費用

開業するまでのステップも、会社設立と個人事業主では大きく違います。

個人事業主は税務署に「開業届」を提出すれば開業を認められますが、会社設立は法人登記をする必要があり、登録の際には費用が掛かります。

会社設立の手続きをするうえで法的に決められた費用を「法定費用」といい、定款に関する費用と登記に関する費用の2つからなります。

定款(ていかん)とは会社の基本情報や規則などが記載された「会社のルールブック」であり、会社設立において最も重要な書類のひとつ。定款に関する費用は「定款認証手数料」「印紙代」「定款の謄本費用」があります。

登記に関する費用は「登録免許税」で、簡単に言うと登記や登録に対して課税される税金です。そのほかに、印鑑作成費用や印鑑証明の発行手数料などの諸費用が掛かります。

例えば株式会社の設立には、印刷代が40,000円、公証人役場で認証を受けるために必要な認証手数料が50,000円、定款の謄本交付料が約2,000円(1枚250円/総額は定款の枚数により変動)、登録免許税として「資本金の金額×0.7%」が掛かります(「資本金の金額×0.7%」が150,000円に満たない場合は最低150,000円)。

こうした株式会社の法定費用を合計すると、設立費用は約24~25万円となります。

合同会社の設立は定款への認証が不要なので、認証手数料は掛かりません。また、合同会社の登録免許税は、「資本金の金額×0.7%」が60,000円に満たない場合は最低60,000円となります。

合同会社の法定費用を合計すると、設立費用は10~11万円程度掛かる計算になります。

掛かる税金

法人になると、法人税・法人住民税・消費税・法人事業税が課せられます。

法人税とは株式会社などの法人の所得に掛かる税金のこと。平成27年度の法人税率は23.9%、28年度は23.4%と、法人税は年度ごとに改定されており、令和4年時点の税率は23.2%となっています。

資本金1億円以下の中小法人で年800万円以下の所得金額については、税率が15.0%となる税制上優遇があります(令和4年時点)。

税制上の優遇には、その他にも以下のようなものがあります。

  1. 軽減税率の適用…中小法人では、所得金額が年800万円までは法人税率15%の軽減税率が適用されます。
  2. 欠損金の繰戻還付…今期赤字で前期が黒字で税金を支払った場合、前期に納めた税金を還付してもらうことができます。
  3. 800万円以下の交際費の損金算入…大法人は原則飲食等を除く交際費は損金にはなりませんが、中小法人では年間800万円以下の交際費が損金となります。
    ※損金:法人の資産が減る原因になったお金のこと。
  4. 30万円未満の資産の一括損金算入…中小法人は年間300万円を限度として30万円未満の資産をその年度に全額損金計上することができます。
  5. 繰越欠損金の全額控除…繰越欠損金とは過去の赤字の累積であり、今期黒字となった場合、過去の赤字と全額相殺することができます。
  6. 法人事業税の外形標準課税の対象外…法人事業税の外形標準課税が対象外となり、赤字の場合でも支払う付加価値割・資本割を支払わなくても良いことになります。
    ※外形標準課税:事業所の床面積や従業員数、資本金等及び付加価値など外観から客観的に判断できる基準を課税ベースとして税額を算定する課税方式のこと。

法人住民税は、個人の住民税と同じく法人に課せられる住民税のこと。法人事業税は、法人が行う事業そのものに課される税になります。

一方、個人事業主に課せられるのは個人の所得に掛かる所得税となり、195万円以下であれば一律5%ですが、所得額が大きくなるとそれにつれて税率も高くなる「累進税率」が適用されます。

  • 195万円を超え、330万円以下は10%
  • 330万円を超え、695万円以下は20%
  • 695万円を超え、900万円以下は23%
  • 900万円を超え、1,800万円以下は33%
  • 1,800万円を超え、4.000万円以下は40%
  • 4,000万円超は45%

経費対象となる範囲

法人も個人事業主も、事業に使った金額を経費として計上することができます。

個人事業主でよくあるのが、自宅を事務所と兼用しているケース。家賃や水道光熱費などはプライベートで使用した分と事業で使用した分の線引きが曖昧になるため、「家事按分(かじあんぶん)」として事業にかかった費用を算出する必要があります。

家事按分の例としては、地代・家賃・水道光熱費・通信費・自動車関連の費用などが挙げられます。また打ち合わせの際の飲食代や、新年会・忘年会等の会食代も経費として認められます。

個人事業主には経費として認められる交際費の限度額はありませんが、事業とプライベートとの線引きが難しいため、金額が大きいと税務調査の対象になることがあります。

法人はさらに給与や賞与、退職金などの費用も経費として計上することができ、その分は法人税の課税対象外となります。

社会的な信用度

社会的な信用度の高さで言えば、個人事業主よりも法人のほうが高いといえるでしょう。

会社によっては、相手が法人でないと取引しないところもあります。その理由は、情報開示による信用力があるからです。

法人化することによって、会社の基本概要が登記により公示されます。登記内容は、商号・所在地・目的・資本金・取締役氏名・代表取締役の住所氏名など。 この登記の内容は誰でも取得することができる「履歴事項証明書」(いわゆる会社謄本)で確認することができ、こうした情報が開示されていることが信用に繋がるのです。

会社設立(法人)のメリットとデメリット

会社設立のメリット

会社設立のメリットといえば、信用度が高いこと。万が一事業が失敗して倒産してしまったとしても、会社組織であれば経営者個人は出資した分の責任を負うだけで、それ以上の責任は課されません。

信用度が高いということは、資金調達、融資を受けやすいことでもあります。法人の場合は財務管理が厳しいので融資側もどれくらいの資産があるかが判断しやすいため、その点でも個人より融資を受けられる確率や額が多くなります。

節税効果が高いことも会社設立のメリット。利益をあげるのがビジネスですから、手元に残るお金を1円でも多くするために、節税効果が高いことは大きなメリットになります。

法人の場合、2021年度の所得税率は800万円以上が23.20%、800万以下だと15%となっています(前3事業年度の平均所得金額が15億円超の中小企業者である「適用除外事業者」は19%)。

個人事業主の場合、695万円~900万円の所得であれば所得税率が23%掛かることを考えると、会社設立のほうが税制面でのメリットが大きいことがわかります。

会社設立のデメリット

会社設立のデメリットとして挙げられるのが、設立のための資金。会社設立には法人登記などの手続きが必要で、例えば株式会社の場合は約25万円の経費が掛かります。

毎月の社会保険料の負担やランニングコストがかかってしまうこともデメリットの1つ。従業員の社会保険料は会社と本人の折半となっているため、会社の規模が大きくなって従業員の数も増えれば、保険料支払いは大きな負担となるでしょう。

会社を解散する場合も法務局で解散登記が必要となり、費用が掛かります。

個人事業主のメリットとデメリット

個人事業主のメリット

個人事業主は、会社設立に比べて開業が簡単なのが大きなメリット。税務署に開業届を提出するだけで個人事業主として認められ、会社設立と違って初期費用も掛かりません。

税金面でも所得が低い場合は個人事業主のほうが税額が低いため、利益もコストもミニマムに収めるなら個人事業主がおすすめです。

個人事業主のデメリット

個人事業主のデメリットの1つは、信用度が低いこと。誰でも始められる分、信用という点では法人に劣ります。

融資を受ける際も法人と比べて資産の判断がしづらいので、信用面は法人よりも落ちてしまいます。

また、所得が増えると法人よりも税率が高くなってしまうのもデメリット。会社設立を考えるタイミングだとも言えます。

会社設立か個人事業主、どうやって決める?

事業を始めるにあたって、会社設立と個人事業主どちらを選ぶかということで悩む方もいると思います。

会社設立をする場合は初期費用が掛かるため、資金に余裕がない場合は個人事業主から始めて、安定した利益が出たら会社設立へと移行するのが賢明です。

最初から資金や従業員が確保できていて一定以上の収益が見込める場合は、税制面で有利な会社設立を選んだほうが良いでしょう。

個人事業主から開始したとしても、事業が軌道にのれば所得も増え、規模も拡大していきます。従業員を雇わなければいけなくなることなども考えると、長期的な事業の継続には会社設立のほうがメリットが多いといえます。

法人であることで得られる信用、社会保険による従業員への安心感、利益による節税などは、個人事業主では手に入らないメリットです。

会社設立にはメリットがたくさんありますが、何より節税で利益を守れるという点が大きな利点です。

個人事業主の場合、所得が増えるほど累進税率で税率が高くなってしまいますが、法人化して税率を抑え、利益を守れれば、その利益を活かしてさらなる事業拡大が見込めます。

自身の事業を長期的な観点で見据え、会社設立と個人事業主ではどちらが有利になるか、どんな規模で、どんな事業を行っていくのかを踏まえたうえで選択することをお勧めします。

会社設立が最小限の費用で叶うサービスに注目

事業を始めようとする方の中には、「個人事業主なら簡単に始められそうだけど、会社設立は敷居が高そうだな…」と感じていらっしゃる方も多いでしょう。

確かに会社設立をするには法人登記などのさまざまな手続きが必要で、初めての方には調べるのにも労力を要します。スタートする事業の計画や営業に注力したいのに、申請や手続きに時間を取られてしまっては本末転倒です。

そんな方に向けて会社設立を強力にサポートしてくれるのが、横浜会社設立ステーションが行っている「会社設立支援サービス」。「会社支援設立サービス」は、会社設立時に必要な設立項目の決定・印鑑の作成・定款の作成・登記書類の作成・開業の届け出といった煩雑な手続きをすべて代行してくれます。

支援サービスを提供しているところは多くありますが、横浜会社設立ステーションは、税理士だけでなく公認会計の資格も持ち合わせているのが特徴。税理士は税務に関してのプロですが、監査証明業務がある公認会計士であれば、的確な財務の助言を受けることができます。二つのプランも用意されており、会社設立+資金調達+事業計画のプラチナプラン。会社設立代行業務に、税務会計顧問の年間の特典割引がついた実質10万円で会社設立ができるゴールドプランも用意されています。

ただでさえ事業を始めるときは事業計画や人材・オフィスの確保などに時間と労力を取られるもの。そんな時、安心して会社設立を支えてくれるパートナーがいれば、社長として事業に専念できます。

多くのメリットがある会社設立を「申請が面倒」「手続きの手間が勿体ない」と諦めてしまう前に、会社設立支援サービスの活用を考えてみてはいかがでしょう。

横浜会社設立ステーションでは、起業手続きや資金調達から助成金・補助金の情報提供まで、会社設立や経営についての困りごとに幅広く応える無料相談会を実施中。

「個人事業主と会社設立で迷っている」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

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