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賃貸マンションで会社設立はNG?&マンション経営会社の設立方法

目次

賃貸マンションで会社設立は禁止されているって本当?

賃貸で借りているマンションで会社設立登記をすることは、法律上は可能です。ただし、賃貸物件契約と管理規約との関係では問題が生じる可能性があります。

賃貸物件契約との関係における問題

一般に賃貸物件契約には、物件の利用目的が指定されています。具体的には、「住居用」「事務所用」などです。

そのため、仮に賃貸物件契約に「住居用」と指定されているマンションを会社(事務所や店舗など)として登記した場合には、賃貸物件契約違反を問われる可能性があります。

管理規約との関係における問題

賃貸物件契約と同様に、管理規約においても物件の利用目的が指定されていることがあります。

そのため、仮に管理規約に「住居用」と指定されていた場合、当該マンションを会社として登記した場合には、管理規約違反を問われる可能性があります。

用途によって変わる税金に注意

賃貸契約書で指定されている利用目的の違いにより、賃借人が国に納めるべき消費税の額が変わります。結論から言うと、「住居用」のマンションで会社を設立したほうが、「事務所用」のマンションで会社を設立した場合よりも、消費税の納税額は高くなります。

「事務所用」の賃貸マンションで会社を設立した場合の消費税

「事務所用」の賃貸マンションの場合、マンションのオーナーは家賃収入の中から国に消費税を納めなければなりません。

一方で、「事務所用」の賃貸マンションの借主が会社を設立した場合、借主は、オーナーが支払った消費税分を差し引いた消費税額を納めれば良いことになります。この仕組みを「課税仕入取引」と言います。

「住居用」の賃貸マンションで会社を設立した場合の消費税

「住居用」の賃貸マンションで会社を設立したとしても、「課税仕入取引」の対象とはなりません。そのため、「事務所用」の賃貸マンションで会社を設立した場合に比べると、やや消費税額が高くなります。

また、「住居用」の賃貸マンションの家賃収入には消費税が課税されませんが、「住居用」の賃貸マンションでありながら住居人が会社を設立した場合、税務署から「事務所用」として物件を提供しているとみなされ、家賃収入が消費税の課税対象となる可能性があります。

会社設立前に確認すべき点とは

賃貸マンションで会社を設立する場合には、事前に次の点を確認しておくようにしましょう。

賃貸契約書の内容を確認

賃貸契約書の「利用目的」と「賃貸期間」を確認しましょう。

「利用目的」に「事務所としての利用も可」という旨の記載がある場合には、会社設立登記をしても問題ありません。

また、そのような明記がない場合でも、「賃貸期間」が1ヶ月未満とされている場合は税務署から事業用物件とみなされるため、会社設立登記をしても問題はないでしょう。

管理規約の内容を確認

管理規約の中に「住居用」「事務所用」などの利用目的が明記されている場合があります。賃貸契約書の内容が不明瞭な場合には、管理規約を確認してみましょう。

オーナーや管理会社に直接確認

賃貸契約書も管理規約も内容が不明瞭で判断しかねる場合には、マンションのオーナーや管理会社に直接確認するようにします。

無断で法人登記するとどうなる?

賃貸物件契約を解消される可能性がある

「住居用」の賃貸マンションを無断で法人登記していることをオーナーに知られた場合には、賃貸物件契約違反として契約を解消される可能性があります。管理規約違反についても同様です。

状況によっては、賃借人は生活拠点と本店所在地を同時に失い、生活にも事業にも大きな支障が生じる恐れがあるでしょう。

損害賠償を請求される可能性がある

「住居用」の賃貸マンションで企業活動を行ったことで、オーナーや他の賃借人に実損が生じた場合、損害賠償を請求される可能性があります。他の賃借人からの「納品業者の出入りが激しくて、落ち着いて生活ができない」といった類のクレームも、実損に含まれる可能性があるでしょう。

何の問題もない場合もある

実際には法人登記をして企業活動をしているものの、外部から見て「普通の住居人」と同じような状況であれば、法人設立したことがバレずに何の問題も生じないかもしれません。たとえば、インターネットのみで完結するSOHOのような企業活動などです。

ただし、法人登記の状況は誰でも確認できることから、もしオーナーが定期的にマンション全戸の状況を法務局で確認している場合、いずれ法人登記したことがバレてしまいます。

申請できない場合の対処法

賃貸物件契約や管理規約の規定により会社設立ができない場合には、次の4つの方法で対処するしかないでしょう。

バーチャルオフィスで会社設立する

バーチャルオフィスとは、本店所在地として登録できる「住所」だけを借りる方法。登録した住所に届く郵便物については、転送サービスを利用することができます。

シェアオフィスで会社設立する

シェアオフィスとは、共有型のオープンスペースをデスク単位で借りる事務所のこと。異なる事業を営む事業主同士が、共有のスペースでそれぞれの仕事を行っているイメージです。

レンタルオフィスで会社設立する

レンタルオフィスとは、自分専用のオフィス向け個室空間のこと。間仕切りなどで仕切られた小さな個室の空間に、自分専用のデスクや椅子、コンセント、照明などが設置されています。

「事務所用」の賃貸マンションへ引っ越す

改めて「事務所用」の賃貸マンションを探して引っ越すことも、現実的な方法の一つとなるでしょう。

賃貸マンション経営会社設立のメリット

賃貸マンションのオーナーに向け、賃貸マンション経営を事業目的として会社を設立することのメリットをご紹介します。

所得税を節税できる

仮に、売上から経費を差し引いた法人所得の100%を役員報酬等に充てた場合、法人所得はゼロとなるため法人税が課税されません。

役員報酬等を受け取った個人に対しては所得税が課税されますが、所得税には「給与所得控除」が適用されるため、控除の分だけ所得税を節税できます。

相続税を節税できる

不動産収入から生じる法人所得を家族に役員報酬等として分配すれば、被相続人個人の財産を圧縮することができるため、将来的に相続税の節税となります。

ただし、この方法で相続税を節税するためには、株式を家族に生前移転しておく必要があります。

経費項目が多くなる

個人事業主として賃貸マンションを経営することに比べると、会社として賃貸マンションを経営するほうが経費項目が多くなるため、節税につながる可能性があります。

社会的信用が上がる

会社として賃貸マンションを経営することで、「代表取締役社長」になることができます。社会的信用度の向上から入居者への安心感につながり、安定した入居率へとつながる可能性もあるでしょう。

賃貸マンション経営会社設立のデメリット

会社設立のコストがかかる

会社設立には、登録免許税や司法書士への報酬など、設立に関わる様々な初期コストがかかります。逆に個人事業主であれば、それらの設立に関わるコストが生じません。

運営上の手間やコストがかかる

個人事業主に比べ、会社運営における帳簿の管理は煩雑になります。帳簿が煩雑になる分、確定申告も煩雑となります。一定の会計知識がない場合、報酬を支払って専門家(公認会計士や税理士)のお世話になる形となるでしょう。

相続財産の評価額が不利になることがある

株式所有者の相続開始前3年以内に会社が取得した不動産については、個人から相続した場合の「相続税評価額」(通常の取引額の70~80%程度)での評価が適用されません。相続財産の評価額が高くなることから、相続税額の計算で不利になります。

不動産取得税や登録免許税がかかる

賃貸マンションを個人所有から会社所有へと変更する場合、改めて会社として不動産取得税や登録免許税を納税する必要が生じます。

法人所得が赤字でも住民税の一部がかかる

仮に法人所得が赤字であっても、会社は法人住民税の中の「均等割」を納税しなければなりません。個人事業主として赤字となった場合には、自治体によっては「均等割」が非課税となることもあります。

税務調査の頻度が増える

会社を設立すると、税務署の職員が来訪して各種帳簿を確認する税務調査の頻度が増えます。個人事業主の場合は7~10年に一度程度の頻度ですが、会社の場合は3~5年に一度程度の頻度になると言われています。

税務調査の結果によっては追加での納税を命じられることもあることから、帳簿に間違いのないよう日頃から各種管理を徹底しましょう。

社会保険料の負担が大きい

たとえ社長一人の会社であっても、役員報酬を支払う以上は社会保険への加入が義務付けられます。社会保険料の額は、支払った役員報酬の約30%。決して負担は軽くありません。

会社設立を安く・早くする方法

「住居用」の賃貸マンションを本店所在地として会社設立ができれば、物件費用や家賃などのランニングコストが節約できます。ただし、それには上記のように様々なリスクが伴うため、安易に着手することはお勧めできません。少しでもコストを節約して会社を設立したいならば、バーチャルオフィスやレンタルオフィスなどを利用したほうが良いのではないでしょうか。

もとより、会社設立には非常に多くの手間がかかります。膨大な種類の書類を漏れなく用意し、それぞれにミスなく記入し、期日までに所定の窓口へ提出しなければなりません。

ネット上では「会社は自分で設立できる」との情報が散見されますが、専門家ですら会社設立は大変な手間がかかる作業なので、慣れていない方が自分で会社設立をすることは、あまり現実的ではないかもしれません。

西井大輔税理士・公認会計士事務所では、会社設立をお考えの皆さまに向け、書類の準備や各種手続きなどを専門的に提供しています。司法書士と並んで会社設立登記の代行ができる公認会計士も在籍しているので、相談から設立までワンストップで対応することが可能です(税理士資格のみでは会社設立登記の代行業務ができません)。会社設立をお考えの方は、ぜひご相談いただければと思います。

ご相談は何度でも無料です。どうぞお気軽に西井大輔税理士・公認会計士事務所までご連絡ください。

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