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バーチャルオフィスで登記して会社設立する際の注意点は?

バーチャルオフィスとは

バーチャルオフィスとは、オフィスとしての物理的実体を持たない「仮想の事務所」を言います。一般的なオフィスやレンタルオフィス、シェアオフィス、自宅オフィスなどとは異なり、「実際には別の場所で仕事を行っている人に対して、オフィスとしての住所を貸し出すサービス」がバーチャルオフィスサービスです。

契約内容によって利用可能範囲は異なりますが、多くのバーチャルオフィスでは、住所の貸し出しの他にも郵便物の転送など、オフィスとしてのコアな部分のサービスに対応しています。合法的にバーチャルオフィスの住所で会社としての登記もできることから、その住所と会社名で銀行口座を開設することも、もちろん可能です(本人の信用力次第)。

バーチャルオフィス登記のメリット

バーチャルオフィス登記の主なメリットを見てみましょう。

社会的信用力が高くなる

会社にとって、本店所在場所は信用力を左右する大きな要素です。知名度の低い場所に本店を置くよりも、東京都内の一等地に本店を置くほうが、それだけでも取引先から一目置かれることでしょう。
しかしながら、そのような一等地に本店を構えることは、決して容易ではありません。なぜならば、事業に適した広さやアクセスの物件を見つけることが簡単ではないことに加え、何より家賃が高額になるからです。少なくとも事業をスタートさせたばかりの段階では、なるべくコストをかけたくないものです。
それら諸々のハードルを易々とクリアできる手段がバーチャルオフィス。青山や渋谷、新宿、銀座などの信用力の高い一等地でも、バーチャルオフィスなら低コストで本店所在地として登記簿に登録できます。

イニシャルコストもランニングコストも安い

物理的な実体のあるオフィスを借りる場合、契約時の様々なイニシャルコスト(保証金など)に加えて、月々高額なランニングコスト(家賃や電気代など)がかかります。
一方でバーチャルオフィスの場合、物理的なオフィスとしての実体がない分、イニシャルコストもランニングコストも低額。実体のあるオフィスに比べて経費を圧倒的に抑えることができるため、その分、利益率の高い経営が期待できます。

契約手続きがスピーディ

実体のあるオフィスを賃貸する場合、物件探しや審査、契約手続きなどに、最低でも2ヶ月ほどの期間がかかるでしょう。
一方でバーチャルオフィスの場合、一週間もあれば十分に契約が可能。最短即日で契約できるバーチャルオフィスもあります。会社設立を急いでいる方にとって、このスピード感は魅力です。

マンションなどの利用規約に反しない

一人社長や少人数で会社を設立する場合、自宅のスペースをそのまま会社にする人も少なくありません。ところが、ここで大きな問題が発生します。
その自宅が自己所有の一戸建てであれば問題ありませんが、もしマンションや賃貸アパートだった場合、一般に商用としての利用が認められていないからです。

もし自宅マンションを会社の本店所在地として登録してしまうと、マンションの利用規約違反を指摘され、管理組合等から本店所在地の移動を命じられる可能性があります。移動に応じなければ、最悪の場合、退去を命じられる可能性もあるでしょう。
その点、商用としての利用が認められているバーチャルオフィスなら何の問題もありません。オフィスは別の場所にあるという形式なので、そのまま今までのマンションやアパートに住み続けることができます。

取引先が自宅兼オフィスを訪問してくることはない

一戸建てなどの自宅を本店所在地として登録している場合、場合によっては取引先の人が自宅兼オフィスを訪問してくる可能性があります。
もちろん、自宅を訪問されても問題がなければ良いのですが、なるべくプライベートが混在した仕事場には訪問されたくないという方もいることでしょう。万が一、仕事上のトラブルが発生して取引先の人が自宅兼オフィスに来てしまった場合、同居する家族にも迷惑がかかってしまう恐れがあります。
自宅とは異なる場所にオフィスの住所を置けば、取引先が自宅を訪問してくる可能性はほとんどないでしょう。

バーチャルオフィス登記のデメリット

バーチャルオフィス登記の主なデメリットを見てみましょう。

バーチャルオフィスでは設立できない業種がある

詳しくは後述しますが、全ての業種の会社がバーチャルオフィスで設立できるわけではない点に注意が必要です。
たとえば不動産会社を設立する場合、「継続的に業務を行うことができる施設」であることや「標識の表示」などが条件となっているため、バーチャルオフィスでは開業できません。あるいは、有料職業紹介所の場合も、「個別で仕切られた面談スペース」などを用意することが条件となっているため、こちらもバーチャルオフィスでは開業不可となります。
自分で考えている業種がバーチャルオフィスで開業可能かどうか、事前に専門家に確認してみる必要があるでしょう。

取引先から本店所在場所を検索される可能性がある

現在はネット社会である以上、取引先から本店所在場所を検索される可能性があります。事前に取引先にバーチャルオフィスであることを伝え、その上で信頼関係が構築されていれば良いのですが、もし取引先がバーチャルオフィスであることを知らなかった場合、検索した場所にオフィスの実体がなければ信用問題になりかねません。
バーチャルオフィスを利用して起業する場合には、その営業スタイルが最良の選択であることを、あらかじめ取引先に伝えておいたほうが良いでしょう。

バーチャルオフィスでできることとは?

契約するバーチャルオフィスによってサービスの内容は異なりますが、基本的にどのバーチャルオフィスと契約したとしても、「住所貸し」「郵便物管理」「電話転送」の3つのサービスは用意されていると考えておいて良いでしょう。
ただし同じサービスでも、バーチャルオフィスによって無料か有料かは異なります。事前に料金システムをよく確認しておくようにしましょう。

住所貸し

バーチャルオフィスの最大の醍醐味は、都心の一等地などの住所を貸してもらえる点です。オフィスとしての物理的な実体はありませんが、信頼ある場所に本店の住所があるだけでも、取引先の信頼を得やすくなるなどのメリットが多々あります。

郵便物管理

バーチャルとは言え本店として住所が公開されている以上、取引先からだけではなく、様々な方面からその住所に郵便物が届きますが、ほとんどのバーチャルオフィスでは、それらの郵便物を受け取るサービスを提供しています。また、バーチャルオフィスによっては、受け取った郵便物を転送してくれるところもあります。
転送サービスのあるバーチャルオフィスを利用する場合には、転送が有料か無料か、どの程度の頻度で転送してくれるのか、郵送料は誰が負担するのか等、事前に確認しておく必要があります。

電話・FAX転送

実際のビジネスの現場では、固定電話よりも携帯電話を使用する頻度のほうが高くなっていますが、実際の利用頻度とは別に、固定電話の有無は会社の信用度に関わることがあります。
そのため、バーチャルオフィスの中には、バーチャルオフィスの固定電話宛てに入った電話やFAXを、利用者に転送するサービスを行っているところもあります。バーチャルオフィスの公式HPなどにある「電話転送サービス」や「電話秘書代行サービス」などが、そのサービスにあたります。
電話・FAX転送サービスを利用する場合には、自動音声による転送なのかオペレーターによる転送なのか、オペレーターによる転送の場合に費用はいくらか、通話にかかる費用はいくらか等、料金面を確認しておく必要があります。

バーチャルオフィスで対応可能な業態

単に法人登記をするだけならば、バーチャルオフィスの住所を利用することに何ら問題はありません。ただし先に簡単に触れましたが、開業にあたって一定の条件が必要となる業態の場合、バーチャルオフィスでは開業できない場合があるので注意が必要です。
基本的には開業できる業態がほとんどなので、ここでは、逆に開業できない業態を見ておきましょう。

  • 不動産業
  • 職業紹介業
  • 人材派遣業
  • 弁護士事務所
  • 司法書士事務所
  • 税理士事務所
  • 建設業
  • 古物商
  • 廃棄物処理業
  • 探偵業

以上の業態・業種で会社を設立する場合には、専有スペースや面談用スペースなどに関する細かい規定が設けられているため(行政への届出が必要)、バーチャルオフィスでは開業することができません。

バーチャルオフィスの選び方

登記簿に登記できるかどうか

バーチャルオフィスの住所を名刺に記載することは自由ですが、その住所が登記簿に登記できるかどうかは別問題となります。登記できない住所の場合、本店所在地を別に設定しなければなりません。
バーチャルオフィスを選ぶ時には、その住所が登記用に利用できるかどうか、また利用できるとすれば別途で料金がかかるかどうかを確認するようにしましょう。

必要なサービスを用意しているかどうか

事業の内容によっては、住所貸し以外のサービスが必要になることもあるでしょう。特に郵便物管理と電話・FAX転送サービスは、どのような事業にとっても必須のサービスではないでしょうか。
バーチャルオフィスを選ぶ時には、住所貸し以外のサービス内容、および各サービスの費用についても確認しておきましょう。

現地に最低限の設備があるかどうか

バーチャルオフィスでは利用者の個別のスペースは用意されていませんが、個別での書類保管ボックスや共用の会議室・応接室・執務スペースなどが用意されていることがあります。取引先と打ち合わせすることが多い利用者にとっては、会議室・応接室などがあれば大変重宝されることでしょう。
必要に応じ、それら共用スペース等が用意されているかどうかを確認しておくこともおすすめします。

納得できる料金体系かどうか

バーチャルオフィスの中には、住所貸しの基本利用料は低く抑えながら、郵便物の保管サービスや電話転送サービスなどの必須オプションを高額に設定しているところもあるようです。
契約に際しては、初期費用や基本利用料だけではなく、利用する可能性のあるオプションサービスの料金にもよく目を通しておきましょう。

しっかり入会審査を行っているかどうか

入会審査の甘いバーチャルオフィスには、社会的に問題のある企業が入っているかもしれません。もしそのような企業が問題を起こした場合、同じ住所を持つ他の企業も一緒に社会的信用を失墜させてしまう恐れがあります。
バーチャルオフィスを比較する際には、しっかりとした入会審査を行っているかどうかも比較項目に入れておくようにしましょう。

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