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資本金1円で会社設立できるって本当?メリットとデメリットは?

資本金1円でも会社設立できる

結論から言うと、資本金1円でも会社設立することは可能です。資本金は会社をスタートさせるために必要な元手金のことなので、実際に1円だけで会社を運営させることは困難ですが、少なくとも過去に多く見られた「最低資本金がハードルとなって会社設立できない」という状況はなくなりました。

過去には最低資本金制度があった

日本における会社設立規定の一つに、かつては「最低資本金」という考え方が存在しました。株式会社を設立する場合には最低でも1000万円、有限会社を設立する場合には最低でも300万円の資本金を必要とする、という規定です。
しかしながらこの規定がネックとなり、起業の促進やベンチャー企業の育成が阻害されているとの議論が浮上。小泉純一郎内閣のもと商法の抜本的な改正が行われ、その一環として会社法改正を通じた「資本金1円会社」の設立が認められる流れとなりました。

資本金1円の会社を設立するメリット

実際に資本金1円で会社を設立するかどうかは別にして、資本金を低めに抑えて会社設立することには様々なメリットがあります。主なメリットを4点ほど見てみましょう。

個人事業主よりも社会的信用が得られやすくなる

比較的小規模な事業を行う場合、会社を設立する方法の他にも、個人事業主として事業をスタートさせる方法も一般的です。
会社と個人事業主にはそれぞれメリット・デメリットがありますが、個人事業主に比べた場合の会社のメリットは、何より社会的信用を得られやすくなるという点でしょう。「商店」ではなく「法人」であり、「店長」ではなく「社長」が存在するという点において、一般に会社の社会的信用力は個人事業主のそれよりも高いと認識されています。

一定期間、消費税の納税が免除される

1円会社も含め、資本金1000万円未満で設立された会社は、一定期間にわたり消費税の納税が免除されます。特定期間の課税売上高や給与支払総額が1000万円を超えた場合など、一部に例外規定があるものの、基本的には設立年度を含めてから2期にわたり消費税の納税が免除される形となります。

法人住民税均等割や資本割などの税金が安くなる

法人住民税には法人税割と均等割の2種類がありますが、これらのうち均等割は資本金の額や従業員の人数を基に算出されるため、資本金が少なければ少ないほど均等割の額も低くなります。また、法人税の一種である資本割についても、資本金の少ない会社ほどその額が低くなります。

会社からの資金の出し入れがしやすくなる

資本金として入金したお金は、社長であろうとも自由に引き出すことはできません。そのため、会社設立時に多額の資本金を入れてしまうと、その後、社長自身の生活に支障が出てしまう恐れがあります。
一方で資本金を少なめに抑えておけば、会社で必要となる資金を「社長からの貸付」とすることができるため、会社から貸付金を返済してもらうという体にすれば、社長と会社との間のお金の行き来がスムーズになります。

資本金1円の会社を設立するデメリット

様々なメリットのある資本金1円の会社ですが、逆にいくつかのデメリットもあります。1円会社の設立を検討する際には、メリットとデメリットをよく比較することが大切です。

資本金の多い会社に比べて社会的信用が低くなる

会社の資本金に関する情報は、登記簿事項証明書などを通じて誰でも容易に取得が可能です。もし取引先、または取引を検討している会社が、自社の資本金が1円であることを知った場合、中には良い印象を抱かない取引先もあるでしょう。一般に、資本金の額は社会的信用力に影響を与える傾向があります。

金融機関の法人口座を作りにくいことがある

資本金1円の会社の場合、金融機関の法人口座を作りにくいことがあります。マネーロンダリングや詐欺などに悪用される恐れがある、と金融機関が判断するためです。

金融機関からの融資を受けにくいことがある

資本金も自己資金も少ない会社が事業を運営していくには、必然的に借入を増やさなければなりません。借入を増やせば増やすほど、自己資金と借入金とのバランスが極端に偏るため、かなり不健全な印象のバランスシートとなってしまいます。
金融機関側としては、返済リスクを回避するという理由で融資の審査を厳しくしてくることでしょう。

資本金1円では設立できない業種がある

許認可が必要な業種の中には、資本金の最低額に関する規定が設けられている業種があります。例えば特定建設業においては、「資本金2000万円以上かつ自己資金4000万円以上」であることが設立要件の一つとして規定されています。
全ての業種において1円で会社設立できるわけではない点に注意が必要です。

資本金1円会社でも設立手続きに伴う各種費用はかかる

資本金がいくらであれ、資本金とは別に会社設立手続きに関する各種費用がかかることは、制度が改正される前と変わりません。会社設立にかかる主な費用の内訳を見ておきましょう。

登録免許税

法務局に法人設立登記を申請する際、最低でも15万円の登録免許税がかかります。

定款認証に関する費用

公証役場で定款認証を受ける際、認証手数料として約5万円、定款に貼る収入印紙代が4万円かかります(電子定款の場合は収入印紙代がかかりません)。

印鑑作成費用

会社設立をする際には、最低でも実印、銀行印、角印の3本の印鑑を用意しておく必要があります。法人用印鑑セットとしてこれら3本をまとめて注文した場合、数千円から1万円ほどの費用がかかるでしょう。

司法書士などへの報酬

会社設立手続きを司法書士や公認会計士などに依頼する場合、報酬として6万~10万円ほどの手数料が必要となります。専門家に依頼せず、社長一人で全ての設立手続きを行えばコストはかかりませんが、事業開始に向けた多忙な中で煩雑な会社設立手続きを自力で行うことは、あまり現実的でないかもしれません。

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