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株式会社・法人に掛かる税金の種類・タイミングを解説

個人事業主と株式会社では、国や地方へ納める税金の種類が異なる部分もあります。
本記事では、株式会社に課せられる主な税金の種類・概要・納税タイミング、および、株式会社ができる主な節税対策についてご紹介しています。

株式会社・法人が払う主な税金

株式会社・法人が払う主な税金の種類、納税のタイミングなどについて見ていきましょう。

法人税

法人税とは、会社の所得に対して課税される税金のこと。概ね、個人事業主における所得税に該当します。
法人税の計算方法は、「課税所得×法人税率-控除額」。課税所得は「益金-損金」で求められ、法人税率は一律23.2%となります(※)。
法人税を納税するタイミングは、事業年度の終了日から2か月以内。事業年度が6月30日で終了する場合、同年7月1日から9月30日までの間に納税することとなります。

※2023年10月現在の法人税率。資本金1億円以下の会社や年間所得800万円以下の会社は、法人税率が15%となります。

地方法人税

地方法人税とは、法人税と同様に会社の所得を基準として課税される税金の一種です。国から各自治体には「地方交付税」が配分されていますが、地方法人税は、この地方交付税の財源の一部となります。

税金の名称に「地方」という文字があるものの、あくまでも国へ納める税金となるため、地方税ではなく国税に分類されます。
地方法人税の計算方法は、「法人税×10.3%」(2023年10月現在)。上記の法人税を確定させた上で、地方法人税を算出します。
地方法人税を納税するタイミングは、法人税と同様、事業年度の終了日から2か月以内となります。

法人住民税

法人住民税とは、法人の事業所がある自治体へ納める地方税の一種。税率は自治体によって異なります。
地方住民税の計算方法は、「法人税割+均等割」。法人税割は自治体が決めた税率で算出され、均等割は会社の資本金額・従業員数を基準に算出されます。なお均等割は、たとえ会社が赤字だったとしても納税しなければなりません。

法人住民税を納税するタイミングは、法人税と同様、事業年度が終了した日から2か月以内となります。

法人事業税

法人事業税とは、事業所のある自治体の公共サービス(道路・消防・警察など)に掛かる経費を一部に充てる目的で設置されている地方税の一種。法人税とは区別して理解しておきましょう。
法人事業税の計算方法は、「所得×法人事業税率」。法人事業税率は課税所得や法人の種類などを基準として決まりますが、具体的な税率は自治体により異なります。
法人事業税を納税するタイミングは、法人税と同様、事業年度が終了した日から2か月以内となります。

消費税

消費税とは、商品やサービスを購入した際に納税する国税の一種。会社は、顧客から一時的に預かっていた消費税を、顧客に代わって国へ納める形となります。

消費税の計算方法は、「顧客から預かった消費税-外部へ支払った消費税」。顧客から預かっている消費税は、もとから国に帰属しているものなので、たとえ会社の損益が赤字であっても原則として国へ納めなければなりません(一定の条件に該当した場合には納税義務なし)。

消費税を納税するタイミングは、法人税と同様、事業年度が終了した日から2か月以内になります。

事業所税

事業所税とは、一定数以上の人口がある自治体などにおいて、都市環境を維持・整備するために必要な費用を会社へ負担させる地方税の一種。すべての自治体で課税される税金ではありません。

事業所税の計算方法は、「資産割+従業者割」。資産割は事業所の床面積に応じて算出され、従業者割は事業所の従業員数に応じて算出されます。
事業所税を納税するタイミングは、法人税と同様、事業年度が終了した日から2か月以内となります。

源泉徴収した所得税や住民税

従業員個人の所得税や住民税は、会社が給与から源泉徴収して預かった上で、従業員本人に代わって会社が納税します。

所得税の計算方法は、「課税所得×税率-税額控除額」。いったん仮に所得税を計算して納税し、12月に年末調整のうえ正確な所得税額が決まります。住民税については、従業員の住所がある自治体から事業所へ通知されるため、会社が計算する必要はありません。住民税の税率は自治体により異なります。

所得税や住民税を納税するタイミングは、従業員から源泉徴収した翌月の10日まで。源泉所得税納期の特例が適用されている会社においては、6か月に1度、年に2回に分けて納税します。

固定資産税

固定資産税とは、固定資産とされる財産に対して課される地方税の一種。具体的には、その会社が所有する土地・建物・償却資産が課税対象になります。
固定資産税の計算方法は、「課税標準額×税率」。課税標準額は資産の評価額をもとに算出します。税率は1.4%です。
固定資産税を納税するタイミングは自治体により異なりますが、毎年4~6月としている自治体が多く見られます。

自動車税

自動車税とは、会社名義で所有している自動車に対して課税される地方税の一種。個人で自動車を所有している場合も自動車税が課されるので、イメージしやすいのではないでしょうか。
自動車税の税額は、自動車の排気量等により異なります。自治体が事業所へ納付書を郵送するので、会社が税額を計算する必要はありません。

自動車税を納税するタイミングは毎年5月末まで。5月上旬に納付書が届くため、納付期限までにあまり余裕がありません。納付書が届いたら速やかに納税しましょう。

株式会社ができる節税対策

株式会社ができる主な節税対策を3つほど見てみましょう。

赤字を繰り越す

個人事業主でも3年間にわたり赤字を繰り越すことができますが、株式会社の場合には10年間にわたり赤字を繰り越せます。もし赤字が出た場合には、忘れずに翌年以降の黒字へぶつけて課税所得を圧縮しましょう。

また、類似の節税対策として、一定の要件を満たした場合には「欠損金の繰り戻し還付」も利用できます。黒字の翌年に赤字となった場合、黒字と赤字を相殺して払い過ぎた税金の還付を受ける制度です。

役員報酬を損金に計上する

株式会社の経営者は、会社から給料ではなく役員報酬を受け取る形となりますが、一定の要件を満たした役員報酬は、経費と同様に損金計上が可能です。経営者自身への実質的な給料(役員報酬)を損金として処理すれば、その分、課税所得が圧縮されて法人税等の節税につながります。

ただし、役員報酬を大きくし過ぎた場合、役員個人の所得税も大きくなり、かえって税金の総額が高くなることもあるので注意が必要です。税理士等に相談のうえ、適切な役員報酬の額を計算してもらうようおすすめします。

古い在庫を処分する

古くなって不要となった在庫を廃棄すれば、廃棄費用を損金として計上できるため、その分だけ課税所得が圧縮されて節税につながります。また、廃棄ではなく売却した場合、購入原価よりも安い金額で売却すれば売却損を損金に計上できるため、こちらも節税効果につながります。

ですが、在庫の廃棄費用を損金に計上する場合には、確定申告の添付書類として廃棄証明書が必要となる点にご注意ください。

【まとめ】株式会社における税金の種類、納税タイミングと節税対策について

  • 株式会社における主要な税金には法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税、消費税、事業所税、源泉徴収した所得税や住民税、固定資産税、自動車税があります。これらの税金はそれぞれ特定の計算方法と納税タイミングがあります。
  • 法人税は会社の所得に対して課税され、課税所得は「益金-損金」で求められ、法人税率は一律23.2%(2023年10月現在)です。また、納税のタイミングは事業年度の終了日から2か月以内です。
  • 地方法人税、法人住民税、法人事業税、事業所税、源泉徴収した所得税や住民税も同様に、事業年度が終了した日から2か月以内に納税が必要です。固定資産税と自動車税の納税タイミングは自治体により異なります。
  • 株式会社ができる主な節税対策には、赤字を繰り越す、役員報酬を損金に計上する、古い在庫を処分するなどがあります。

個人事業主の確定申告に比べ、株式会社の確定申告は複雑です。事業規模にもよりますが、期日までに正しく納税するために、税理士や公認会計士のサポートを受けるようおすすめします。

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