会社設立における「公証役場」の役割とは?
目次
会社設立でお世話になる「公証役場」とは
会社設立に関して調べていると目にする「公証役場」という文字。まずは、公証役場や公証人の概要について確認しておきましょう。
公証役場とはどんな場所?
公証役場とは、法務局が管轄する官公庁の一種。通常1~2名以上の公証人と呼ばれる法律の専門家が常駐し、公正証書の作成や会社設立における定款認証、私署証書の認証、確定日付の付与など、各種書類における法的効力の保証を専門業務として活動しています。
公証人とは
公証人とは、公証役場で執務する法律の専門家のこと(国家公務員)。裁判官・検察官・弁護士・司法書士・法務局長などとして30年以上にわたって法律を専門とした仕事に従事してきた人の中から、法務大臣が任命する形で公証人に就任します。
具体的な業務内容は、遺言・遺産分割協議・金銭消費貸借契約・建物賃貸借契約・不動産売買などに関する公正証書の作成、会社設立における定款の認証、私署証書に対する確定日付の付与、外国宛て文書に対する認証付与などです。
会社設立の際、公証役場でいつ・何をする?
会社設立の際には、会社運営の基本的事項を定めた「定款」を作成し、法務局に提出する必要があります。ただし、単に発起人同士で作成しただけの定款を法務省に持ち込んでも、法務省は受理してくれません。法律の専門家である公証人に作成プロセスを確認してもらい、中立的な立場からの「認証」を受けた定款のみが法務省での受理対象となります。
なお、会社設立登記において必要な書類の中には定款があります。公証役場で認証を受けた定款を提出しなければならないので、必然的に、定款認証は会社設立登記の「前」に行っておかなければなりません。
公証役場で行われる「定款認証」とは
公証役場で行われる「定款認証」について詳しく確認しましょう。
定款って?
定款とは、会社を運営する上での基本的なルールを定めた書類を指します。定款に記載する内容を大別すると「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3種類があり、これらのうち「絶対的記載事項」に挙げられている項目については、必ず記載しなければ定款として認められません。「絶対的記載事項」の記載項目は次の通りです。
- 事業の目的
- 商号(社名)
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額もしくは最低額
- 発起人の氏名・名称・住所
- 発行可能株式総数(株式会社のみ)
定款認証とは?
会社設立に必須となる定款ですが、発起人が作成したままの定款(原始定款)には法的効力がなく、会社設立のための書類としては認められません。第三者となる専門家の目で、その定款が正当な手順で作成されたかどうかを確認する必要があります。
この確認作業を行う専門家が公証役場の公証人であり、公証人によって定款が正当なものであるお墨付きをもらうことを定款認証と言います。
定款認証の必要書類
発起人が個人の場合の会社設立に際し、定款認証に必要な書類は以下の通りです(発起人全員が公証役場に行く場合)。
1.発起人の印鑑登録証明書と実印
もしくは
2.発起人の運転免許証、パスポート等の顔写真入りの公的機関発行の身分証明書のいずれか1つ及び認印
3.定款3通
4.実質的支配者となるべき者の申告書(※)
※「実質的支配者となるべき者の申告書」は、書式をダウンロードして印刷したものを使用します。
なお、公証役場に支払う手数料(資本金の額により3~5万円)も忘れないようにしましょう。
定款認証の流れ
紙ベースによる定款認証の大きな流れを確認します。
- 会社を管轄する公証役場に対し、発起人から事前チェックのための定款案を送付
- 送付された定款案を公証人がチェック
- 公証役場から発起人に対して定款案の結果を連絡
- 発起人による定款(原本)3通の作成
- 発起人または代理人が定款認証に必要な書類を提出(公証役場に赴く)
定款認証に掛かる費用
定款認証に掛かる費用は次の通りです。
定款認証手数料
定款認証手数料の額は、資本金が100万円未満の場合は3万円、資本金が100万円以上300万円未満の場合は4万円、その他の場合は5万円となります。
謄本交付手数料
謄本交付手数料は謄本1枚につき250円です。合計で2,000円ほどになると考えておきましょう。
収入印紙代
株式会社を設立する場合には、公証役場に提出する定款に4万円分の収入印紙を貼付する必要があります。
※参照:京橋公証役場公式HP:http://www.k-kosho.jp/d1.html
定款認証をスムーズに済ませるには
会社設立をするには、法務局や労働基準局などでの手続きに加え、公証役場での定款認証も必要です。一連の手続きは非常に複雑ですが、本業に向けた準備を進めている大事な時期なので、それらの行政手続きよりも、本業に向けた準備に注力していきたいものです。
西井大輔税理士・公認会計士事務所では、定款認証を含めた様々な会社設立手続きをワンストップで代行しています。司法書士と並んで会社設立登記の代行業務ができる公認会計士も在籍しているので、相談から設立までスムーズにサポートすることが可能です(税理士資格のみでは会社設立登記の代行業務ができません)。会社設立をお考えの方は、ぜひご相談いただければと思います。
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